【うめらく酒場Vo.2】
うめらく酒場は、梅田・うめきたエリアを拠点とする「うめらく」のコミュニティに集う人たちが、1日店長(ゲスト)となり、自分の関心ある社会課題やテーマを持ち寄り、語り合う“対話の場”。
店長 藤堂 克史氏 くらしのお手伝い 藤 代表、大阪出身 52歳。
約30年間一般企業で勤務していたが、自分らしいライフスタイルを考えた時、元気で自立したシニアライフをめざしたいと感じ起業。
現在は、シニアを対象とした、お出かけや通院の付添い、お買い物代行をはじめ、生前整理や遺品整理も行なっている。
くらしのお手伝い 藤

■はじまりの一歩
前回のうめらく酒場第1回、石黒旬さんが店長を務めた「やりたいこと、聞かせてください」で、藤堂さんから語られた「まだ社会につながっていない方の居場所をつくりたい」という想いを形にすべく、自分の家族(特に父)の姿から、男性の居場所づくりの難しさに着目し、テーマを「男性の居場所づくり」としました。
■地域とのつながりが、暮らしをやわらかくする
自費サービスや、遺品整理&生前整理のお仕事をされている藤堂さん。公的サービスに頼りづらいことを有償で補う日頃の仕事の中から、現状を見て課題に感じることがあるといいます。
「物価高の中で負担も大きい中、地域のつながりがあれば、支援の質も生活の質も上がるはず。自分も閉じこもりがち。でも、ここ(うめらく酒場)に来ると、楽しいし、生き方のモデルに出会えたし、ご縁ができた方とまちの中で偶然出会うというれしい経験も最近あった。この経験で得られた幸福感をもっと世の中の人に拡めたい」
■「つながり」って、なんだろう?
知らない世界に飛び出すことは勇気のいること。でも、飛び出してみたら心がほどける経験もある。
誰かと話すこと、その場限りでも、癒されたり、安心できたり。この日の参加者の半数は、しゃべること自体がウェルビーイングだという。
「身近な場所で、人が集まる場ってどこだろう?」という問いに広がりました。

■男性の居場所って、どこ?アンケート調査から見えたこと
参加者に聞いた「男性が集まっている場所」
1位:立ち飲み屋 2位:居酒屋 3位:競馬・パチンコ
他にも、囲碁・将棋、公園作業、ライブハウス、銭湯、祭りの会合など。
共通点は「作業がある」「目的がある」「たわいない話ができる」「その場限りのつながりでも共通テーマで喜びや興奮感を共感する」「一人でふらっと行けて、しがらみもなく、しゃべって、すっと帰る。」
翌日、楽しかった記憶だけで何を話したかわからないのもちょうどよい。
そんな場が“心の居場所”になっているそうだ。

■「ふらっと寄って、ゆるくつながる」がちょうどいい
きっかけは、“面白そう” “楽しそう” “雑誌で見て気になった”。きっかけは何であれ、「行ってみよう」と勇気を振り絞っていってみた先に、楽しい体験があるとそこが居場所になる。
人生において精神面の健康からも、「つながり」が不可欠だと感じている人は、意識的に月1回はつながりをつくれるような場に出ているという方も。変化は目に見えなくても、つながっている感覚が心を安定させるという意見もありました。
■しゃべらない人が集まっても会話は生まれない?
しゃべる場には“場をまわす人”が、場をなごませてくれる人がいるとスムーズに入りやすいという人も多く、店主が話を広げてくれる飲食店ならそこも居場所であると感じている人もいらっしゃいました。
飲食店やサービス業をされている方からは、初来店のお客様に行う「さ・し・す・せ・そ」での接客術も話題に(笑)※詳細は後述
■「立ち飲み屋+会議が融合する場が理想的」
マンションで住んでいると、隣近所に誰が住んでいるかわからないといわれているが、一軒家でも最近はわからない人たちも多いという意見もありました。そういう現代だから、孤立する人が増えるているのではないか?じゃあ、地域でのつながりやコミュニティづくりをしてはどうだろう。コミュニティづくりに携わる事業者もやってないわけではない。地域の自治体でイベントもやっていないわけではない。しかし、イベントを開催してもいつも同じメンバーしか集まらないのが課題。
地域の会合などに参加されない方にその理由を聞いてみました。「マンションの理事会や地域の会議なども、会議の進行役が一方的に話をして終わるような報告会が増えている。出ないといけないというきっかけであったにしろ、会議が有意義なものであれば継続して参加しているだろう。けれど、出ていった結果、いてもいなくても変わらないような会議ではつまらない、時間がもったいないと感じて次からは行かなくなる」という意見も。
「ちゃんと役割があって、たわいもない話をお酒でもかわしながらつながりができる場」が理想かもという話題に。
■集会場という資源を活かせるか?
マンションの集会場や地域会館、あるけれど使いこなせていないのが現実。
「立ち飲み屋的なことを集会場でやったら?」
「別に飲み屋でなくても、カフェでもいいかも」
ハードルを下げて、人がふらっと寄れる雰囲気をどうつくるかが鍵では?!という意見に。
■一人じゃないって感じられるまちに
挨拶を交わすだけでもまちの中での安心感が育つ。
「これまで家と職場の往復だったけど、まちで挨拶できる人が増えて、このまちで住んでいるという充実感が増した」そんな声が参加者からありました。
「男の居場所づくり」をきっかけに、多様な人たち集まる場に発展したら、社会全体をよくするまちづくりにもなり得る。
■最後に
接客や交流の場でコミュニケーションを円滑にし、場の雰囲気を和ませたり、相手の承認欲求をさりげなく満するための“魔法の言葉” 「さ・し・す・せ・そ」で褒める接客術が印象に残りました。
それぞれの頭文字に意味があり、日常会話や接客の中に自然に織り交ぜることで、相手に「認められた」「受け入れられた」という安心感を与えやすくなるそうです。特に男性の参加が少ない地域活動の入り口づくりとしても効果的で、リピート参加にもつながるかもしれませんので以下、ご紹介します。
だた、使いすぎたり、わざとらしいと感じさせてしまうと逆効果になる場合もありますので、お話に耳を傾け、共感しながら本音で褒めることを心掛けて使ってみてください。
「さ・し・す・せ・そ」褒めワードの意味と使い方
さ:さすが!
- 意味:「その行動・判断、他の人には真似できない!」
- 使い方の例:
- 「さすがですね!いつも気がつきますね」
- 「さすが!お詳しいんですね~」
し:知らなかった!
- 意味:「あなたから教えてもらったことに価値を感じています」
- 使い方の例:
- 「えっ、知らなかったです!そんなことあるんですね」
- 「そんな話、初めて聞きました!」
す:素敵!
- 意味:「センスや姿勢、人柄を褒める万能ワード」
- 使い方の例:
- 「その考え方、素敵ですね」
- 「素敵な趣味をお持ちですね~」
せ:センスいいですね!
- 意味:「外見や選択、行動への感度の高さを褒める」
- 使い方の例:
- 「そのシャツ、センスいいですね!」
- 「そういう発想、センスを感じます」
そ:そうなんですね!
- 意味:「共感しながら、相手の話を受け止めていることを伝える」
- 使い方の例:
- 「そうなんですね、それは大変でしたね」
- 「そうそう!わかります!」
Q.なぜ「さしすせそ」が効くのか?
A.承認欲求を満たす、会話のきっかけになる、距離を縮めるのに
次回、6月のうめらく酒場は、この「さしすせそ」の極意を教えてくれた、アロマセラピストの福山凛さんが店長として登場されます。香りから幸せが得られるお話をしてくださいますので、5月病やちょっと最近ストレスを感じている方もぜひご参加ください。
文:山田摩利子

この日のスマートケータリングのメニュー
日本の全国おいしいもの紀行と題して
北海道・とうもろこしごはん
青森・ねぶた漬
新潟・ほたるいか酒づけ
富山・白えびのかまぼこ
新玉ねぎとトマトマリネ
手羽先
茨木・胡麻納豆
長野・大粒レーズン
滋賀・琵琶湖の宝石箱(琥珀糖)
愛媛・しらすと枝豆ピザ
鹿児島かつおスライス
おまけは、韓国海苔巻き揚げ
【 うめらく酒場とは】
うめらく(梅田、うめきたのコミュニティ)に集う人たちが1日店長(ゲスト)となり、社会における解決したいテーマについて話題提供をします。参加者のみなさんは、店長が用意したテーマを元に、明日の暮らしがもっとよくなるヒントを得たり、共にお食事をすることで社会や地域とのつながりを感じる場づくりを行っています。