ウェルビな酒場について

ウェルビな酒場とは、友達の家のリビングのようなリラックスできる空間で、お酒などを飲みながら、様々な立場、職業の人間が集まり、ウェルビーイング(Well-being)健康や幸福の総合的な概念について、互いに情報を提供し、交流と理解を深める社交場として関係案内所なかつもりで開催しています。

料理は旬の食材を使用した鍋料理スタイルです。 

詳細については、ページ最後をご覧ください。

実施日時:2024/7/25(木) 19:00~21:00

今月のテーマは 『ウェルビーイングと教育について』

話題提供

心身ともに健やかな生活を送るためには、「教育」の果たす役割が非常に大きいと考えらています。これまでも各年代や人生のステージに応じた教育カリキュラムがつくられてきましたが、近年は様々なアプローチで教育の幅が拡がってきました。

そこで、今回のテーマは、「ウェルビーイングと教育」

各々の考えで共有したり、経験や知識が豊富な人たちの意見を聞きながら、教育からひも解くウェルビーイングのあり方についてヒントを探ってみることとしました。

写真:ウェルビな酒場での料理は、旬の食材を使用した鍋料理スタイルで行っています。
写真:キムチ鍋
写真:エアコンで冷えた身体を、キムチパワーで内面から整え、健康を保ちましょう!という挨拶からトークが始まりました。

清中先生:社会の大きな変化の中で、個人がどのように変化していくかを、考え・身につけることが教育だと思っています。なので、個人レベルの教育もあれば、社会を変えていくための教育もあり、食べていくためのものもあれば、役に立つもの、人生を豊かにするためのものなど、「教育」には、いろいろな側面があります。今日は、ウェルビーイングの視点を含めたより広い意味での「教育」について話し合ってみましょう。

まずは、最近の新しい教育プログラムの事例や、教育の目的の一つである「知識」を深めるために各自普段行っている情報収集の方法について情報交換を行いました。

①最近聞いたことがある新しい教育プログラムの事例

写真:みなみ大隅町に住む知人がもってきてくれた「すみっこ留学」のチラシ。※関係案内所なかつもりにもおいてあります!

そのほかにも・・・

▶高校生対象 「地域みらい留学」

▶若者対象 インターンシップ、メンターシップ

▶社会人対象 地域おこし協力隊、地方創生プログラム、京都農援隊

自分のやりたいことを実現するための学べる場が学校だけでなく地域社会の現場でも増えていて、フィールドワークを通した学びの場がたくさんあることを情報共有。

②時代と共に変化した情報収集元と、各自普段行っている情報収集の方法

昔(昭和)

  • 新聞: 定期的に発行される紙媒体でニュースや記事を情報を収集
  • 本、フリーペーパー: 専門的な知識や深い学びを得るための主要なリソース
  • 口コミ: 人から人へと伝わる情報を通じて、信頼性のある知識を得る手段
  • テレビ: 映像や音声を通じて情報取得

現代(平成、令和)

  • SNS: Twitter、Facebook、Instagramなどのプラットフォーム
  • 動画プラットフォーム: 視覚的にわかりやすいTikTokやYouTubeなど

各自が行っている情報収集について

  • SNSをきっかけに: 情報の興味や関心はSNSで得ることが多いですが、それだけで留まらずさらに調査
  • 発信者の調査: 情報の発信者の人柄や経験を深く調査し、信頼性を確認
  • Googleサーチ: 詳細な情報や追加のリソースを探すためにGoogleを活用
  • 実践と学びの深化: 自己調査の後は、実際に行動し、実践を通じて知識を深め、また、学んだことを他者に教えることで、更なる学びを得る。

清中先生:学びを深めるには知識だけでなく、実際に行動してみることと感動を伴った体験が重要であること、それを深めるには「誰から学ぶか」を重要視すること、という意見が出ましたね。これからのAIの時代では、ネット上の膨大な知識をわかりやすく要約でき、頭で理解することはさらに簡単になるでしょう。そこで、ますます重要になる教育は、知識に触れたときに、自分の中に湧き上がってくる感覚やエネルギーを体感的に確認し、その情熱を頼りに学びを深めていくことだと思います。「誰から学ぶか」が重要なのは、すごい体験や体感を積み重ねた「達人」から習うと、AIとは共有できない、その情熱を引き継ぐことができるからですね。そして、あまり注目されていない大切な要因に、「誰に教えるか」があると思います。教えることで、学びが深まること、何より自分が大切にしてきた体験や情熱を、引き継いでもらうことで、世代を越える「教育の流れ」ができます。また、教育は一生続けるものであり、今後は大人も学びなおしができるよう、働きながら学べる場、短期間で学べる場を増やしていき、さらに、地方農業、伝統工芸など担い手不足で困っているような場とのマッチングも、私たちの活動として進めていきたいですね。

生涯教育の意義と社会的貢献

これまでの日本の教育は、経済成長と共に進められてきました。しかし、世界では経済成長一択ではない、「幸せ」を求める形も重視されてきていることから、それぞれの個人の幸福と社会の幸福のついて見直されている傾向にあります。そこで、自己の学びから社会の学びまでを含めた「生涯教育」について、参加者の方に、「生涯教育の場」と聞いてイメージすることをお聞きしてみました。

①高齢の人が集まる場

②安価で学べる場

③一定のコミュニティ(居場所)の場

④地域のネットワーク形成の一つ

⑤自己実現(楽しく学べる)の場

参加者の中には、生涯学習の場づくりを行政のお仕事でされてきた経験のある方もいらしたので、行政が行なっている生涯教育についての概念の説明もしていただき、整理することができました。

行政が提供する生涯教育・・・生涯学び続けることによって社会に還元し、自己成長と社会貢献を目指す概念であることから、知識習得や自己実現で終わりではなく、社会の役に立つことが重要視されている。

写真:清中先生「なぜ学問をするのですか?」の問いに、ある学者はこう答えました。「ただ楽しいから」と。

清中先生:学習には、①役に立つから学ぶ、だけでなく、②楽しいから学ぶ、という側面があり、それぞれに価値があります。「生涯教育」を、人生を豊かにするために学び続けることとするならば、この①②両面の価値は一緒にせず、分けて考えてもいいと思っています。食べていくことや誰かに喜ばれるためだけでなく、自分がただ楽しむために、自分の中に新しい燃料を注ぐ経験を続けていくことは、それだけでとても大きな価値があり、いろいろな場所で新しい芽が出て欲しいと思います。

教育と文化の継承

清中先生:教育には、単なる知識の伝達だけでなく、伝統工芸などにみられる技術・文化や情熱の継承も、重要な要素として含まれていると思います。文化継承をする継手がいないという問題を、教育と掛け合わせることで解決できないか、をみんなで話あってみましょう。


(参加者からのご意見)

▶伝統工芸を学ぶことは個人の成長だけでなく、文化や伝統の維持にも寄与する

▶感動や学びの連鎖を通じて社会や文化を豊かにすることにつながる

▶文化や伝統を学ぶことは心や人生が豊かになる

▶教えることは、自分自身の学びや技術習得が身に付くから文化や伝統の発展にも貢献

写真:みなさんの持ち寄り品
写真:中盤を過ぎると、つまみながら会話が進んでいきます。

最後に

これからの時代の教育に必要であろうことを「深化と進化」という2つのキーワードでまとめてみました。

デュアル方式による知識の深化

教育の目的の一つは「知識」を深めることであり、情報過多の時代において情報収集にはデュアル方式を用いることが効果的であることがわかりました。参加者たちは、SNSなどを通じて知識を得るきっかけを作り、その後、自身のネットワークや実地の調査を通じて信頼できる情報源から裏付けを取り、実践を通じて学びを深めていました。この方法は、現代において必要な精査能力、批判的思考、問題解決能力を養うのに役立つと考えます。

言い換えれば、情報や環境に依存せず、自らの理解を深め、信頼できる知識を形成しているということではないでしょうか。

教育の質は「誰から学ぶか」で進化

参加者の話題においても、「誰から教わるか(教師や先人など)が学びの質に大きく関わる」という点が何度も強調されていました。また、「人に教えることで自分も成長する」というという意見もあり、これは教育提供者側も時代に応じて進化する必要があることを示しています。

教育者は、学びが知識の獲得にとどまらず、人間性を育むプロセスであることを再認識し、価値を尊重した教育を実践することが求められていますが、さらには社会の変化に柔軟に対応するため、学び直しやアンラーニング(古い知識の見直し)も重要なアプローチとして推奨されています。

最後に、参加者お一人の方が発言された言葉が印象的でしたので、ここに記します。

「求めなければ何も始まらない」(聖書より)

つまり、教える側も学ぶ側も、教育を進化させるためには自らの意志で学びを更新する環境を作り出す必要があります。これを読んで読んでいただいた皆様も、ウェルビーイングな暮らしへの第一歩として、教育(学び)から得られる喜びや達成感を体験する方法として何か新しいことを始めてみられてはいかがでしょうか?!

ウェルビなトークでは、目標(新しい価値づくり)として、「経済と価値のバランスある人たちが集まるコミュニティの醸成」と、ウェルビーイングを推進する「地域コーディネーターの人材育成」を目指しています。

次回は、9月下旬を予定します。またSNSなどで告知します。

文:山田摩利子


【話題提供】

清中崇司(医師)

循環器内科から精神科、救急外来から往診看取りまで、広範な臨床経験を持ち、医療の質向上に精進すると共に、診察室から飛び出し、地域のウェルビーイングの発展を目指す。教育や実践のための場創りも重視し、新しい医療と古き良き医療・生活文化から垣間見える価値観の中から、各々が大切にしているものを、確認する「場」を増やすために活動している。

=経歴=

■2016年8月~現在 ひゃくぶん会クリニック 内科・循環器内 科・心療内科 院長

■2013年4月~現在 東加古川病院(精神科単科病院) 内科非 常勤

■2013年5月~2017年5月 京都大学大学院医学研究科 脳機能総 合研究センター 研究生・医学専攻(博士課程)

■2007年4月~2013年3月 兵庫県立尼崎病院 研修・循環器内科 専攻医

■2007年3月 神戸大学医学部医学科卒業


あなたもウェルビな酒場に参加してみませんか?

ウェルビな酒場とは、友達の家のリビングのようなリラックスできる空間で、お酒などを飲みながら、様々な立場、職業の人間が集まり、ウェルビーイング(Well-being)健康や幸福の総合的な概念について、互いに情報を提供し、交流と理解を深める社交場として関係案内所なかつもりで開催しています。

☑健康、幸せ、平和、環境に興味のある方

☑ちょっと最近しんどいなと感じている方

☑福祉や医療従事者の方

☑会社でウェルビーイングの事業に関わっておられる方

などにおすすめのお話会です。

お鍋を囲みながら、みんなで健康の本質について語り合いましょう。

ぜひ、ご参加お待ちしております!

■参加費

1,000円(税込)

持ち込みされない方は1,500円(税込)

■参加費に含まれるもの

お鍋の基本セット

(野菜、お肉、出汁、〆)

■持ってくるもの

何か1品、鍋の具材

参加ご希望の方は、ホームページのお問合せ先またはInstagramのメッセージまでお知らせください。