先週土曜日、中津ブルワリー が最終日を迎えました。



たくさんの方が縁側に集まり、いつものようで、どこか特別な時間が流れていました。
縁側では、ビールの仕込みで出会った方、ホップ作業でご一緒したキリンビールの社員さん、そして日頃からまちで関わる仲間たちと、自然と交流が生まれていました。
やっぱり、縁側のあるまちはいい。
そして、ビールは人と人をつなぐ“触媒”なんだと、あらためて感じた一日でした。
今回は関係者中心の案内だったようで、私もどこまで声をかけていいのか迷いながらも、うめらく会員のLINEグループでお知らせし、鹿シチューで中津ブルワリーの最後を飾らせていただきました。

シチューの仕込みは、
- ホップの活動をともにしてきた清水さん(2019年からドイツへ、現在、帰国)
- 宇野さん(ケータリングリーダー)
- 小林さん(鹿肉を手配してくれた中津の広報誌(る〜ぷ)の編集なども手がける狩猟免許保有者)
にもお手伝いいただき、前日に80人前(夜の焚き火用も含めて)の準備しました。
中津ブルワリーとの思い出を振り返ると、
- 2017年、うめキタの暫定利用地(現在のグラングリーン大阪)で、
①地域の賑わいづくり
②地域連携
③防災意識向上
を目的に、ホップ栽培とビール醸造体験で都市部のコミュニティを作る活動をスタート。
- 2019年、偶然中津で物件を借りていた東邦レオさんと出会い、中津ブルワリーが誕生。
- 2020年、近郊地(奈良・平群)と都市(大阪・中津)をつなぐ「ホップ栽培」のコミュニティ醸成の活動がスタート。全国に、「ホップから始まるコミュニティ」がスタートし、コミュニティデザインの一つの事例としてまちづくりの一環を担ってきました。
気づけば5年。その間、他にも、中津のまちに 隈研吾 さんが来訪され話題になったり、EXPO酒場のイベントを開催したり、「ハイパー縁側」で多様な活動に触れたりと、濃密な時間が積み重なってきました。
2016年に任意団体として立ち上げてから、今年で10年。さて、都市部で生まれたコミュニティ「うめらく」は、これからどうするのか?!
こうして、ホップ栽培からビール醸造へと広げながら、コミュニティづくりを継続し、2022年には「UPCYCLE中津荘」に「関係案内所なかつもり」を立ち上げ、現在4年目に突入しています。
「関係案内所なかつもり」は、地域の内と外、人と人をゆるやかにつなぐ“ハブ”のような場所として、うめらくの活動拠点の一つとして店舗を構えています。
会員の方々には、それぞれの想いやチャレンジを形にする“実践の場”として活用いただいています。
「関係案内所なかつもり」も、まちづくりの拠点として多様な方に活用いただくようになりました。
これまでの取り組みで、うめらくが掲げてきた3つの目標のうちの2つ、
①地域の賑わいづくり
②地域連携
この2つにおいて、現在では、ホップ栽培からビール醸造へと広がるコミュニティは全国にも波及し、各地で同様の取り組みが自然と生まれ、地域住民も主体的に関わりながら、地域の賑わいづくりができていることや、それぞれの地域との交流や連携も生まれていることから、一定の効果を出すことができたと言えると考えています。
こうした広がりの背景には、東邦レオ さんのように、全国の都市開発事業者とのつながりを持ち、施工からブランディングまで一体的に担う企業の存在がありました。
そしてもう一つは、私たちのような、地縁(自治会)でもアソシエーション(テーマ型)でもない、「新しい町内会」のような地縁コミュニティとの連携です。
この両者が出会い、関係性を築いていくプロセスそのものを、ひとつのかたちとしてお見せすることができたのではないかと感じています。
次に目指すのは、3つ目の目標である
③防災意識の向上
このテーマは、地域にとって不可欠でありながら、ビジネスとして理解されにくい領域でもあり、企業とともに事業として進めていくことの難しさを感じてきました。
しかし、活動を続ける中で、少しずつ変化が生まれています。
現在、うめらくの会員34名のうち6名が防災士。さらに、内閣府の避難所運営リーダーを育成する講師もメンバーに加わっています。
言葉では伝えきれなかった価値観が、“人が集まる”というかたちで、コミュニティに表れてきたのだと思います。
もう一つ。うめらくの活動を支援してくださっている都市開発事業者と、数年前より都市部におけるマンションコミュニティ醸成のお仕事をさせていただいています。目的は、マンションの顧客満足度の向上と、マンション資産価値の向上、それ以外にもさまざまな良い効果をコミュニティによって生み出していこうという取り組みです。
そして、この度、その企業様と、行政の「防災事業」についてJV形式で応募することになりました。
決めたのは年末。
年明け以降は、日々の業務に加え、慣れないプロポーザル資料の作成に追われる日々。
これまで積み重ねてきた地域での防災の実践や、個人の事業で行ってきた福祉事業者様でのBC P策定サポートや訓練研修のカリキュラム導入などの経験やノウハウも交えながら取り組んできました。
そして今回、ようやく私たちの取り組みと、その先にある意義が評価され、行政案件として防災事業を受託することができました。
面談では、
「防災そのものがゴールではなく、あくまで通過点。私たちが目指しているのは、コミュニティの醸成である」というメッセージを、強くお伝えしました。
「コミュニティを醸成して、どうするのか?」
「その先に何の価値があるのか」
「どんな意味があるのか」
そんな問いは、これからもきっと続くと思います。
この挑戦をなぜするのか。わかる人にはすぐ理解できると思います。
今は、わからない人も、きっとわかるようになる。
そのために、私たちは根気よくお伝えしていくことを決めました。
人は人とつながることで、
「ウェルビーイング(よりよく生きること)」
「レジリエンス(困難から立ち直る力)」
を育みながら、しなやかに生きていく力を身につけていきます。
そして、その行動により、人々の生産性は上がり、利益にもつながり、結果、日本の経済や地域の発展にもつながります。見えない力、今まだ生まれていない価値はそういうところから生まれていくのだ思います。
これもきっと、言葉だけでは伝わりきらない。
だからこそ、日々の暮らしと実践の中で、これからも静かに示していけたらと思います。
文:山田摩利子