昨日、大阪市「市民学習プログラム企画」助成事業の第1回を開催しました。

この事業は、市民一人ひとりが学びを通して社会とのつながりを深め、その学びを地域や社会で活かしていくことを目的とした大阪市の助成事業です。

(企画の背景)

地域活動やまちづくりでは、

  • 担い手不足
  • 高齢化
  • 地域のつながりの希薄化
  • ボランティアによる地域活動の持続性

など、さまざまな課題が挙げられています。

こうした課題を解決するためには、課題を話し合うだけでも、これまでのやり方を続けるだけでもなく、一人ひとりが学び、新しい視点を取り入れ、実践につなげていくことが大切ではないかと考えました。

しかし、「まちづくりを学びにつなげる」「学びを実践につなげる」ためには、まず一人ひとりが自分ごととして考えられるきっかけが必要です。

そこで私たちは、近年、教育・企業・学校・行政など、さまざまな分野で注目されている「ウェルビーイング」に着目しました。

国内外の研究では、地域や社会とのつながりを持つ人ほど、幸福感や健康、人生の満足度が高まることが数多く報告されています。

「まちのため」ではなく、「自分自身の幸せを考えることが、結果として地域や社会にもつながっていく」。そんな視点から、一人ひとりが自分ごととして学び、行動につなげられる学習プログラムとして、今回のテーマを「社会との接点で広がるウェルビーイング」としました。


オープニング

オープニングでは、この学習プログラムの趣旨と、全6回を通して目指すことについてお話ししました。

この学習プログラムで大切にしているのは、一方的に教える・教えられる場ではなく、参加者同士が対話を重ね、共に学び、高め合いながら、自分自身の幸せや地域との関わり方を考え、それぞれの暮らしや地域で実践につなげていく。そんな社会教育の場を目指していることをお伝えしました。


第1部

第1部では、株式会社ウェルビーイング阪急阪神 代表取締役社長・石原敏孝さんより、「ウェルビーイングとは何か」をテーマにご講演いただきました。

ウェルビーイングの歴史や国内外の研究をもとに、「個人」「職場」「まち」のそれぞれにおいて、どのような状態が”良い状態”なのかを、石原さんオリジナルのマトリックス表を用いて分かりやすく整理していただきました。

また、多くの研究から見えてきた共通点として、

個人・組織・地域のいずれにおいても、ウェルビーイングの実現には「つながり」と「コミュニティ」が重要である

というメッセージをいただきました。


第2部

第2部では、社会教育士の増田ひろさんをファシリテーターに迎え、デジタル庁の「地域幸福度(Well-Being)指標」を活用したワークショップを実施しました。

地域幸福度指標を見ながら、自分自身の価値観と、自分の住む地域の主観・客観データを照らし合わせ、グループで対話を重ねました。

参加者からは、

「思っていた地域の印象とデータが違っていて驚いた。」

「自分の幸せと地域とのつながりを改めて考えるきっかけになった。」

など、多くの気づきや学びの声が聞かれました。


学びを地域へ広げる

幸せの感じ方や価値観は人それぞれです。だからこそ、ウェルビーイングには一つの正解はありません。

しかし、「人それぞれ」で終わらせるのではなく、自分自身の幸せを見つめ直し、地域や社会との接点を考え、その背景にある研究やエビデンスにも目を向けながら、対話を重ねていくことが大切だと考えています。

その過程の中にこそ、個人・組織・地域、それぞれの幸せにつながるヒントがあり、より良い社会をつくるための学びがあるのではないでしょうか。

この学習プログラムは、講座を受けて終わりではありません。

学んだことを日常の中で実践し、その気づきを家庭や職場、地域へと広げていく。

その人がまた新たな学びを生み出し、次の人へとつないでいく。

そんな学びの循環を生み出すことこそ、社会教育の役割ではないかと考えています。

教育と人生、そして幸せについては、古くから多くの先人たちが語ってきました。

教育学者ジョン・デューイは、

「教育は人生の準備ではない。教育そのものが人生である。」

名著『民主主義と教育』

という言葉を残しています。

また、孔子も、

「学びて時にこれを習う、また説(よろこ)ばしからずや。」

論語

と説きました。

これは、学びとは知識を得るだけではなく、それを実践し、繰り返しながら自分のものにしていくことにこそ喜びがある、という教えです。

そして、こうした考え方は、現代の幸福学・ウェルビーイング研究にも通じています。

今回、第1部で石原さんからご紹介いただいた、日本の幸福学・ウェルビーイング研究では、

  • 健康な人は幸福感が高く、幸福感が高い人は健康である
  • 孤独感は将来の幸福感を低下させる一方、幸福感が高い人は孤独になりにくい
  • 社会的なつながりは幸福感を高める

ことなどが、多くの研究によって示されています。

つまり、「人とのつながり」や「学び続けること」は、昔から経験的に語られてきた価値であり、現在では研究によってもその重要性が裏付けられつつあります。

だからこそ、この学習プログラムでも、知識を得て終わるのではなく、対話し、実践し、振り返りながら「社会との接点で広がるウェルビーイングについて」学び続けることを大切にしていきたいと考えています。

ご参加いただいた皆さま、講師・ファシリテーターの皆さま、本当にありがとうございました。

最後に、
この学習プログラムでは、ウェルビーイングを「幸せを感じること」ではなく、「幸せをみんなで育て続けること」と考えています。

私たちは社会教育を通して、そのことを理解し、実践する人を一人でも増やしていきたいと考えています。

次回以降も、どうぞよろしくお願いいたします。

ワークショップの様子
募集チラシは、普段使わないような色でウェルビーイングを表現してみました。

【当日の結果】

参加者 オンライン 12名  会場参加 17名